BOOK

〈あとがき〉が妙にカッコイイ学術書4冊【2019.3.31追記】

学術書の〈あとがき〉は個人史である*1。ここに来るまで書き手は学術的ルール一般に則り、禁欲的に一冊の書物を記述してきた。しかし、〈あとがき〉にルールは存在しない。誰も〈あとがき〉の書き方は指導されない。慣習的に似通った内容にはなるが、それで…

世界/社会に触れるノンフィクション vol.1

「建国大学」。この名を知っている人はどれくらいいるのだろうか。三浦英之『五色の虹ーー満州建国大学 卒業生たちの戦後』によると、そこは「日中戦争当時、日本が満州国に設立した最高学府」であり、「日本政府がその傀儡国家における将来の国家運営を担わ…

濃密な学びが得られる社会学の本 vol. 1

仁平典宏『「ボランティア」の誕生と終焉』は生み出された瞬間に〈古典〉となった本である*1。用語の選定も含めてゴリゴリの学術的文献であり、その選定には著者の選好も垣間見える。たしかにそれは学術的系譜に連なりつつも、どこか新しさを感じさせるもの…

中動態とは何かをめぐる旅

國分功一郎『中動態の世界』は「中動態とは何か」をめぐる思考プロセスにこそ本質があり、そこが抜群に面白い*1。これが『中動態の世界』を読んだ感想のすべてである。 一読しただけなので議論のすべてを咀嚼したとはとてもじゃないが言い切れない。しかし、…

ラポールとは何か

調査対象者との「信頼関係(ラポール)」が重要である。 社会には「表面的な付き合い」や「タテマエ」が存在するが、社会学の調査系の本にも「うわべ」にしか思えない表現はいくつも存在する。そのうちの一つが「ラポール」という言葉である。調査者と調査対…

〈あとがき〉が妙にカッコイイ学術書3冊

学術書の〈あとがき〉は個人史である*1。ここに来るまで書き手は学術的ルール一般に則り、禁欲的に一冊の書物を記述してきた。しかし、〈あとがき〉にルールは存在しない。誰も〈あとがき〉の書き方は指導されない。慣習的に似通った内容にはなるが、それで…

濃密な学びが得られる社会学入門書3冊

1. 『14歳からの社会学』 宮台真司 いまではもう希少価値になった〈変人〉〈奇人〉タイプの学者、宮台真司の著作。縦横無尽にあらゆる領域を語る、その構えこそ社会理論家が夢見る姿そのものであり、ある種の社会学が目指してきた幻影である。 宮台の著作が…

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